2021年10月21日(木)飯森範親指揮/日本センチュリー交響楽団第258回定期演奏会 チェロ新倉瞳

19時開演 ザ・シンフォニーホール

センチュリーの定期は3月以来で、プログラムに魅かれて出掛けた演奏会でした。

バレエ音楽、委嘱作品のチェロ作品、そしてパイプオルガン付き交響曲、と多彩なプログラム。
飯森範親マエストロも完全復活のご様子で安心しました。

ストラヴィンスキーのバレエ音楽(先週もストラヴィンスキー聴いたばかり)は、8曲からなる組曲ですが、初めのうちは、これはハイドンか?と思うくらいに真面目(?)な音楽だったのですが、後半おどけた感じでトロンボーンのグリッサンドが入ってきて、この諧謔的な感じはなるほどストラヴィンスキー、と納得したのでした。

続くチェロ作品は新倉瞳さんの委嘱作品で、ファジル・サイ作曲「11月の夜想曲」。当初3月の定期で初演予定であったものが、コロナの影響で先に東京交響楽団で初演されたとのこと。しかし標題の「11月」に近い時期に演奏されて良かったのでは?とも思いました。

この作品は、チェロの多様な音色を用いてさまざまな試みがなされている、いわゆる現代音楽。人の声のように聞こえたり、雑踏のように聞こえたり、あるいはパーカッションのような使われ方がされていたり。昨年上村文乃さんで聴いた黛敏郎の「文楽」を思い出しました。ファジル・サイの出身地であるトルコ、イスタンブールの情景を描いているそうですがーー残念ながら映像で見るのみで訪れたことがないこともあり、情景が浮かぶところまではいきませんでした。

実はアンコールの方が印象的で、「みんな一緒だよ、という歌です」と新倉さんが歌いながらチェロを奏でるクレズマー音楽「nign(ニーグン)」。どこか懐かしい旋律で、澄んだピュアな歌声も素敵でした。

サン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付き」
これは素晴らしかった。こんなにも聴きごたえのある充実した音楽だったのだと、演奏にも楽曲自体にも感銘を受けました。
パイプオルガンが入ると教会音楽のように思えてしまうのですが、特に第2部には弦楽器によるフーガも多く取り入れられていて、リストの思い出に捧げるとされたこの作品は、やはり宗教音楽なのではないか?と思いながら聴きました。重厚なオーケストラの中に現れる、ガラスの輝きを思わせる4手(3手?低音側のピアニストは左手だけのように見えたのですが)のピアノは「動物の謝肉祭」の「水族館」にそっくりで思わず微笑んでしまいました。

そしてなにより、冨田一樹さんによるパイプオルガンの演奏が素晴らしく、このホールのパイプオルガンがこんなに大音量で鳴るのを初めて聴きました。特に低音の重厚な響きは大迫力。このホールならではで味わえる音場体験に、終演後気づいたら腕を前に突き出して大拍手をしている自分がいました(笑)

やはり感動する演奏に立ち合えたら感動するのだ、と至極あたりまえのことを再認識し、なんだかほっとしたのでした。

◇座席
当日券で入場。正面2階席の後方やや下手寄り。センチュリーはこのエリアもC席で売ってくれるので嬉しいです。

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