2023年1月22日(日)小林研一郎指揮/ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団 ピアノ藤田真央

14時開演 ザ・シンフォニーホール

桂冠指揮者 小林研一郎マエストロ率いる、ハンガリー国立フィル日本ツアー最終日。
とは言うものの、もちろん真央さん目当てで聴きに行ってきました。

ベートーヴェン「皇帝」、素晴らしかった!
まず冒頭のピアノ独奏部分のあまりの美しさにうるうる涙目になってしまいました。
こんなに美しい音楽だったのかと。

約2年前に初めて真央さんのピアノを聴き、ひと耳惚れしてしまったのがこのホールであったことを思い出しました。その時はラフマニノフの3番でしたが、以来どの作品を聴いても、作曲家よりも真央さんが上位にいる感じがしてしまうのです。強い個性なのですが、しかしそれはアクの強さとは真逆でどこまでも清らか。そして、これまで知らなかったその作品の魅力を幸福感とともに伝えてくれるものなのです。

この作品ではベートーヴェンはカデンツァを封じていたようですが、1楽章の終わりには真央さんオリジナルのカデンツァが挿入されていました。ベートーヴェン先生への挑戦でしょうか?しかし、これがなんとも煌びやか!音の輝きと粒立ちとでその魅力満載!この演奏だったらベートーヴェン先生も笑って許してくれるのではないでしょうか(ムッツリがニッコリに変わった肖像画が目に浮かびました笑 )。

コバケン先生は、指揮台をピアニスト側に斜めに置いて、真央さんとコンタクトが取れるように指揮されていました。他の2曲は暗譜でしたが、この曲ではスコアを置き、真央さんを尊重して丁寧に丁寧に指揮されているように見受けられました。

真央さんとの年齢差は60歳とのこと。
ジャスト孫!?
しかし非常にお元気で舞台袖と指揮台とを小走りで行き来されるなど、動きも軽やか!——序曲を始める前に、指揮台の位置に違和感があったらしく、オケ奏者の方が出てきて下手側に移動させる、というひと幕も(最初は自ら動かそうとされてました笑)。マエストロのチャーミングなお人柄ゆえか客席からは笑いが起きていました。

いわゆる「名曲プロ」ではありましたが、しかし、やはり聴かせてくれる指揮者だと思いました。「エグモント」も「新世界」も、名曲たる所以を感じながら楽しませていただきました。
どちらもメロディの宝庫。エグモントは映画のBGMを先取りしたようでもあるし、「だいたいベートーヴェンが全部先にやっている」を改めて感じました。

「新世界」では、このオーケストラの素晴らしさを堪能。弦には腰の強さがあり、管楽器では特にホルンが素晴らしい。4名とも男性奏者でしたが、みな体格がよくて納得。安心して聴ける——これ、なかなか実現しないのです。

演奏終了後には、マエストロのアフタートーク。マイクを持ってお話しになるのが定番ですね。このオーケストラは今年創立100年で、ご自身は50年の付き合いになるとのこと。そして、ハンガリーなので、ということで、前解説付きでアンコールはブラームス「ハンガリー舞曲5番」。なんだか「題名のない音楽会」を見ているようでした(笑)

◇座席
2階最前列下手側。
よく見えよく聴こえて満足。
客入りが思っていたより少なく、2階、3階席は6割ほど。

◇ソリストアンコール:チャイコフスキー 6つの小品より「ナタ・ワルツ」op.51-4
そっとそっと鍵盤を撫でるように奏でる美弱音のなんと瀟洒なこと!

◇オーケストラアンコール(前述):ブラームス ハンガリー舞曲第5番
緩急を大袈裟につけたコバケン風でした(笑)

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