2022年9月22日(木)尾高忠明指揮/大阪フィルハーモニー交響楽団第561回定期演奏会 ワーグナー 独唱 池田香織

19時開演 フェスティバルホール

大フィルでワーグナー、しかもブリュンヒルデ池田香織さんがまた聴ける。
3連休前のご褒美コンサートでした。

開演時間ギリギリでホールに入りましたが、舞台中央にティンパニが2セット、下手には4台ものハープが並んでいて、この規模でワーグナーが聴けるのだと思い、いきなりテンション上がりました!

「リエンツィ序曲」は、楽劇本体は上演機会が少なく、私ももちろん観たことはありません。バイロイトのレパートリーにも含まれていないワーグナー初期の作品ですが、和声、楽器の使い方、それに「神々の黄昏」に出てくるのと同じ音型のメロディが含まれていたりもして、この頃既にある程度作風が確立していたのですね。もうしっかりとワーグナーの音楽で嬉しくなってしまいました。

2曲目は、池田香織さん独唱のリート作品「ヴェーゼンドンク歌曲集」。ワーグナーが当時の不倫相手(!)マティルデ・ヴェーゼンドンクの書いた詩に音楽をつけたものですが、今回演奏されたのは1976年にヘンツェが編曲したもの。弦6-4-4-4-2の小編成で中央にハープが1台置かれていました。(弦16型からこの編成に変わるので、スタッフの方々の椅子の片づけが大変そうでした笑)

原曲から短3度下げられているので、音色がとても低い。池田香織さんのメゾの深く心地よい歌唱。びわ湖リング「ジークフリート」終盤のブリュンヒルデのハイCが見事であった一方で、「ラインの黄金」ではエルダも歌っておられたことを思い出し、その声域の広さに改めて感嘆しました。

後半は「神々の黄昏」から、夜明けとジークフリートのラインの旅~葬送行進曲~ブリュンヒルデの自己犠牲。それぞれの曲の間には舞台の照明が落とされる、という演出もなされていました。字幕を出してくれるかな、と期待しましたが、それはなくて少々残念。

「神々の黄昏」では、指環4作の動機が次々に現れるので、前の日から予習しました。というのも、脳ミソの容量が少ないもので、久し振りに聴くと「えーっとこれは何の動機だったっけ?」とそればかり考えてしまうので、思い出してスッキリして臨みたかったからです(笑)。

予習の効果はバッチリで、大いに楽しめました。字幕がなくても「動機」を覚えていれば状況がわかるのです(こうしてワグネリアンは形成されていくのでしょう)。そして最後に「秘蔵っ子」のような美しい「愛の救済」が現れる。しかし・・黄金(指環)はラインの乙女に返されたけれど、神々の世界は崩壊し、なにが救済されたのだろうか?と改めて考えてしまったりもしました。

素晴らしいワーグナーの世界を堪能しました。・・だけど、うーん、申し訳ないけれど、昨年1月に聴いた関フィルのワーグナー特別演奏会のときの感動を超えるものではなかった、というのが正直な感想です。

演奏の細かいことはよくわからないけれど、ホールの音響も原因のひとつではないかと思いました。やはりフェスティバルホールはハコが大きく、天井反響板までが遠く、舞台上の大編成のオケを背に歌うのは、さすがの池田香織さんといえども音量的に不利だったのではないでしょうか。以前同じく大フィル定期で聴いた、R.シュトラウス「四つの最後の歌」でも同様のことを感じたことを思い出しました。

そして、改めて関フィルのあの演奏会の感動を思い出してしまい——2週にわたって、飯守泰次郎マエストロの勝ち?(笑)、指揮者のナゾは深まるばかり——であります。

 

◇座席
2階最前列下手側。
意外に座席が埋まっていなくて、久し振りに両側空席の贅沢。
しかし、1階で聴いていたら、また印象が違っていたのかも?とも思いました。

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