2022年9月24日(土)久石譲指揮/日本センチュリー交響楽団第267回定期演奏会

14時開演 ザ・シンフォニーホール

この週末は定期演奏会が目白押し。大フィル、センチュリー、そして京響。
ブログもさっさと書いていかないと宿題が溜まってしまいます(笑)

この日は昨シーズンから首席客演指揮者に就任された、作曲家 久石譲さんの指揮。
ジブリファンも多かったのでしょうか、チケットは完売。今シーズンのセンチュリーは快進撃が続いています。

前半はシューマンの「春」で、ロマン派の王道的な音楽。後半は久石さんの自作とエストニアの作曲家スメラの交響曲第2番という「ミニマル・ミュージック」に分類される音楽で、バランスの取れた良いプログラムであったと思います。

久石さんを生で拝見するのは初めてでしたし、その指揮で聴くのも初めてでした。
登場された際に「本当に満席だ」といった感じで客席を見上げておられて、人間味が感じられました(笑)

シューマンの最初のうちはなんだか少々ギクシャクした感じも受けたのですが、楽章を追うごとに滑らかな運びになって、シューマンの描く「たけなわの春」を満喫しました。やはりセンチュリーの音は美しいです。

さて、真骨頂はやはり後半のプログラム。
久石さんと言えば、ジブリなどの親しみやすく美しい旋律の音楽を思い浮かべるのですが、意外にも作曲活動はミニマル・ミュージックから始めたということは今回初めて知りました。

ついでに、ミニマル・ミュージックについても名前は聞くもののよく知りませんでしたが、「音の動きを最小限に抑えパターン化させた音型を反復させる音楽」なのだそうです。いわゆる「現代音楽」のひとつ。

この日演奏された「2 Dances for Orchestra」は、そのミニマル・ミュージックの延長線上にあるような音楽で、2年前にコロナ対応として小編成で作曲した作品を3管編成の拡大版にしたもので、この版での初演とのこと。リズム主体の音楽で、パーカッションが大活躍。キレのよい演奏がなんとも快感でした。

続くスメラの交響曲も、ミニマル・ミュージック系の音楽。ただし、スメラはこの作曲時点ではミニマル・ミュージックを知らず、エストニアの民謡に基づいて作曲していたとのこと。

実はこの前日、予習とは別にアルヴォ・ペルトの「スンマ」を聴いていたのですが(その後スメラも同じエストニアだと知ってその偶然に我ながら驚きました)、同じような捉えどころのない音楽でありながら、ペルトの音楽から感じる心象風景的な印象とは異なり、リズムの立った音楽で、チューブラー・ベルやゴングも多用され(何かの警告のようにも聞こえます)、思わず体が動いてしまう、「ノッて」聴ける音楽でした。特に残る旋律はないけれど、その場にいて楽しめる音楽。

しかし、曲の結びに着地点がなく、宙に浮いたような終わり方なので、ちょっと気持ちの納めどころがないなぁ、と感じていたところ、ちゃんと(?)アンコールが用意されていました。

「ハウルの動く城」の「メリー・ゴー・ラウンド」。
中央に置かれていた2台のハープが奏でられ始め、チェレスタが加わって、やがてあのノスタルジックなワルツが始まったときは、ちょっと涙が出そうになりました。オーケストラ用に凝ったアレンジがなされていて、それが作曲家自身の指揮で演奏されている——そのことにも感動してしまい、本編のプログラムのコンセプトからはちょっと乖離した心境でホールを後にすることになってしまったのでした。でも大満足。心に残る演奏会でした。

◇その他
隣席は若い男性で、シューマンの1楽章のあとに拍手をしていたので(他にも拍手する客多数でしたが)、「あ、新しいお客さんだな」と思っていたところ、休憩中に思いがけず話しかけられました。
なんと高校生。吹奏楽部でコントラバスを演奏していて、センチュリーのコントラバス首席奏者の村田さんに教えてもらっているとのこと。初めて生のオーケストラの演奏を聴いて、胸に迫るものがあった、と話していました。ねー、生で聴くのは迫力があっていいでしょう。また聴きに来てくださいね、と(他にもいろいろ話して)返しましたが——この日の演奏会でいちばん良かったのはこのことだったかもしれません。

タイトルとURLをコピーしました