2022年12月7日(水)ユルゲン・ヴォルフ指揮/関西フィルハーモニー管弦楽団「第九」特別演奏会

19時開演 ザ・シンフォニーホール

関フィルの第九、今年は登壇しました。

指揮は、かつてバッハがその職にあったライプツィヒ聖ニコライ教会のカントル(音楽監督)を務めたユルゲン・ヴォルフ氏。
これまでに聴き慣れたもの、歌い慣れたものとはひと味ちがう第九でした。

バロック的というのか、フレージングが変わっていて、例えば有名な4楽章の主題では「ミミファソ(切る)ソファミレ(切る)ドドレミ(切る)ミーレレー」といった具合で、短く切っていく奏法。

オケはさすがでこれに見事に対応しており、何だか子どもが喋っているような幼い可愛らしさが感じられて——天上の楽園にいるのはキューピッド?——「これもあり」の演奏でした。このフレージングをマエストロは「Wave」と仰っていたけれど、それで何を表現しようとされていたのでしょうか?残念ながらそれは不明です。

最も変わっていたのはフィナーレのマエストーソで、慣例的に倍のゆっくりとしたテンポとするところを楽譜通りに振られたので、えらくサッサと終わってしまったなぁという感じ。私自身には消化不良感がありましたが、お客様にはどう聴こえたのでしょうか。慣例通りでないものを「これもあり」として受け取ってもらうには、演奏技術はもちろん、奏者自身の納得がまず必要だと思うのですが、1日だけのマエストロ練習でアマチュアの合唱がそこまで達していたかどうかは少々疑問です・・。

合唱の並びも特殊で、女声を2手に分け、男声を真ん中にして対称形にSATBASとなる配置。マエストロ練習の終盤でそのように変わったのですが、ソプラノの高音の響きが両側から聴こえるのはなかなか面白い趣向。ステレオ効果?これは客席で聴いてみたかったです。

オケも対向配置だったので、合唱の並びと整合性が取れているようにも思いました。
オルガン席からオケを見ていると2楽章の1stヴァイオリンと2ndヴァイオリンの掛け合いなどが視覚的にもよくわかり、「へぇ、こうなっていたんだ」と新たな発見。ベートーヴェンもその効果を意図していたのかもしれない、などと考えたりもしていました。

その一方で・・実はその2楽章でなぜかものすごい睡魔に襲われていました。第九を始め、合唱本番の待ちの部分で眠くなるなどということはこれまで皆無だったのですが、どうしたことでしょう。久し振りのコンタクトレンズで目がショボショボしたせいなのか、はたまたそういう年頃になってしまったのか?とほほ。なんとか耐え抜き、3楽章前にソリストが登場する小休憩で場の雰囲気が変わったので覚醒。ヤレヤレ・・。

ソリストでは、バリトンの萩原潤さんが素晴らしかった。この冒頭ソロの部分も独特で、高らかに宣言する、というよりも、滔々と語る、といった感じで、リートのような歌い口。これは「大いにあり」でした。そして、これまでに聴いてきた第九のバリトン・ソロで、艶やかな美声という点でも最も素晴らしいもののひとつでした。

終演後の拍手が長く続いたので、全体的によい演奏だったのかとも思いましたが、そのあたりは登壇しているとよくわかりません。翌日合唱友達が「聴きに行った友達が、合唱良かったって言っていたよ」とLINEをくれたので、額面通りに受け取りたいと思います(笑)

私が合唱を始めたきっかけは第九であったのですが、同じことを毎年続けるとだいたい4~5年目で飽きてくる、という性分?もあって、第九はサボり気味でした。でも今回2年ぶりに登壇し、後ろでいろいろ考えたりしながらオーケストラを聴き、4楽章の後半で立ち上がり(ここ快感!笑)、歌うのはやっぱり楽しい!せっかく良い機会が与えてられているのだし、やはり第九は歌うべし!だと思いました。

ということで、来年も必ず登壇します!
(その大きな理由は後日述べます)

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