14時開演 ザ・シンフォニーホール
「オペラ座の怪人」、「キャッツ」などのミュージカルで有名なイギリスの作曲家、アンドリュー・ロイド・ウェッバーの「レクイエム」で定期演奏会に登壇しました。
合唱を始めて15年になりますが、これまでで最も手こずった作品でした。
ソプラノで上がりにくい音型というのはどんな作品にもありますが、それだけではなく、取りづらい音程でしかも不協和音とか、休止後に突然とか、変拍子（7拍子）とか、現代音楽ならではの難しさがあり、それらがなかなか克服できず・・。
毎週の練習もかなり工夫して行ってくださって——畑先生のピアニカは素晴らしかったです。そればかり褒められる！と打ち上げで憤慨？しておられましたが、声楽家の演奏するピアニカは歌心満載、ピアニカという楽器の可能性をも感じるものでした——毎回少しずつ手応えは感じていましたが、なかなか個人的に落とし込めない箇所もありました。
なので、近年になく（スミマセン）楽譜と向き合い、練習録音を聴いてピアノで音取りをしたり（ついでに魅力的なピアノ伴奏部分も弾いてみたり笑）、拍子のチェックをしたり、と自宅での練習にも時間を費やし、その分やりがいを感じてもいたのですが・・
しかし——本番を終えても克服できた感が薄く、やりがいの延長線上にあるはずの達成感を得られないままに終わってしまった、というのが今時点での心境です。
音程にしろリズムにしろ「合っているのかどうかよくわからない」箇所について「これで絶対に合っている」と自分自身で納得するところまで詰められなかったのがその原因。もっとやればできたのでは？と思う一方、音感、リズム感に限界を感じたりもして、モヤモヤとした気持ちが残ってしまっています。やっぱり難しかった！
とは言っても、幸福感を感じる箇所や感動の箇所もたくさんありました。
最大の難所、7拍子の「Hosanna」。このつんのめるような箇所をなんとか切り抜け、村上敏明さんの英雄的テノールを聴いた後に入る4拍子は楽しかった！マエストロからは「昔NHKでやっていた『ステージ101』みたいに振り付けありで」と注文があり、（振り付けはしなかったものの）体でリズムを取りながら歌いました。7拍子の軛を脱した解放感、カリビアンな楽園的オーケストレーション、笑顔のマエストロを見ながら歌う「Hosanna」は、大袈裟だけど久し振りに「生きている喜び」を感じる瞬間でした。そうそう、コロナからも脱して、マスクなしで歌えたのも久し振りだったのです。
そして——今回の主役は何といってもボーイソプラノのマックス・トーマスくん。
その透明感のある声は一声聴いただけでも涙腺が緩み、心が清められる美しさ。古くから宗教音楽でその声が使われてきた理由を一瞬で理解しました。ブロンドの天使的なルックスも存在感を放っており、後ろの合唱団員は美声とともに美しい金髪の後姿にも魅了されておりました。
単独でよく演奏される、有名な「ピエ・イエズ」。
リハーサル1日目に、大人のソプラノとボーイソプラノのパートが入れ替えられ、ボーイソプラノからの歌い出しになったのですが、これが大変効果的。ボーイソプラノの後を受けて歌う、並河寿美さんのあたたかく包み込むような歌唱も素晴らしくて、それに続く合唱のハミングを忘れそうになったくらいです（笑）
終曲「Libera me」終盤、突如大音量で轟くパイプオルガンの不協和音が収まった後にも続くボーイソプラノの「perpetua, perpetua‥（永遠に、永遠に）」の結びは印象的で——焦土にひとり佇む少年は希望か、絶望か？——やっぱり彼に全部持っていかれてしまったようです‥ 。
さて、ここからは余談。
この作品には「あの曲に似ている」箇所が色々とあって、私はそれを楽譜にメモしていました。「カルミナ・ブラーナ（Dies irae）」「未知との遭遇（Recordare）」ヤナーチェク「シンフォニエッタ（Offertorium）」、蝶々夫人「ハミング・コーラス（Pie Yesu)」などなど。
そして、本番で「Hosanna」を歌いながら、「ステージ101」で歌われていたこれと感じが似た曲がとっても好きだったことをうっすらと思い出し、なんだったっけ‥？と考えていたのですが——翌日調べたら「涙をこえて」でした。中村八大作曲、1974年、昭和の希望溢れるいい時代。年齢バレますね（既にバレてるか）。マエストロが練習時に、冒頭のソプラノ・パートソロ部分は「50歳若返って！」と言われましたが・・マエストロ、いい線いってます（笑）
◇その他
今回は久し振りに打ち上げも行われ、私は入団後初めて参加。
マックスくんとも写真を撮ってもらい、ソリストの方々のサインも頂戴しました。
マエストロとのツーショット写真もGET！（ここには載せません！笑）
村上さんとは、私が鑑賞したご出演のオペラの話なども少しさせていただいて収穫でした。
