2023年 振り返り~印象に残った演奏

2023年も多くの公演を観賞しました。
前年2022年の81回はさすがに多すぎたと反省し、行きたいものを(ある程度)絞った結果、約2割減の66回となりました。それでもまだ多い‥。

という訳で、この1年を振り返ります。
この1年は、ひとつの公演全体よりも、そのなかの1作品の演奏に感銘を受けたものも多く、それらについて、聴いた順に綴っていきたいと思います。

★3月9日 川瀬賢太郎/日本センチュリー交響楽団定期
ウィーンがテーマのコンセプチュアルなプログラム。「皇帝円舞曲」と「ラ・ヴァルス」をプログラム両端に据え、「ラ・ヴァルス」の意図するところを示唆した演奏。間に置かれたコルンゴルト ヴァイオリン協奏曲のティモシー・チューイ氏の演奏も素晴らしいものでした。

★3月11日 沼尻竜典/京都市交響楽団 マーラー6番「悲劇的」
急遽行われたマエストロのプレトークが印象的かつ効果大。非常に見通しがよく、ストーリー性を感じる演奏でした。京響の煌びやかで分厚い響きを堪能。パーカッション類(ハンマー、カウベル)の演奏が印象的でした。

★6月10日 飯森範親/日本センチュリー交響楽団定期
ジョン・アダムズのピアノ協奏曲「悪魔は全ての名曲を手にしなければならないのか」
飯森マエストロの精緻な指揮に、クラシックの枠にとらわれない活動を展開するソリスト角野隼斗さんのピアノがバッチリとはまり、ビート感漲る演奏に背筋ゾクゾク。滅多に聴けないこの作品を最高の形で鑑賞できました。

★6月16日 原田慶太楼/関西フィルハーモニー管弦楽団定期
ファジル・サイのヴァイオリン協奏曲「ハーレムの千一夜」
ソリスト服部百音さんの渾身の演奏。途中のトルコ民謡の旋律も美しくオリエンタルな音楽に魅了されました。百音さんはこの後、水も飲めないほどの胃腸炎になったそうで、文字通り身を削ってのパフォーマンスだったのですね。美しい舞台衣裳とともに記憶に刻まれています。

★6月17日 シャルル・デュトワ/大阪フィルハーモニー交響楽団定期
(振り返れば連日の演奏会通いでした)
分かったようなつもりになっていた「ラ・ヴァルス」でしたが、本家仏語話者による演奏の歌いまわし、フレーズ感とともにオーケストラの響きの密度に圧倒されました。

★9月16日 ミハイル・プレトニョフ ピアノ・リサイタル
巨匠プレトニョフの自由すぎる演奏。聴いている時は半分呆気にとられていましたが、あの演奏はその後も耳に目にこびりついて離れません。巨匠恐るべし!

★10月7日 大野和士/東京都交響楽団
藤田真央さんの演奏するブラームス ピアノ協奏曲第一番。「こんなに美しいものを聴いてしまっていいのだろうか?」と書きましたが——よくなかったですね(笑)。その後聴いた他のピアニストの弱音が霞んでしまって——あの美しさを凌駕するのは、真央さん自身でしかないと思っています。オケとのバランスも素晴らしく、マエストロとの協働=これぞ協奏曲、でした。

★10月15日 藤田真央 ピアノ・リサイタル
ということで、間を置かずに聴いた真央さんのリサイタル。魂を抜かれるような思いがした、美しすぎるリスト「ロ短調ソナタ」。終演後は放心状態。この1年のベスト演奏はこれです。

★11月5日 ファビオ・ルイージ/ロイヤル・コンセルトヘボウ
海外オーケストラ来日ラッシュで、5つの海外オケを聴きましたが、もっともその音色に特徴を感じたのがこのコンセルトヘボウ。柔らかな束感のある音色は唯一無二で、感慨深いものでした。

★11月19日 びわ湖ホール「こうもり」
野村萬斎氏演出による大胆な読み替えが的を射たプロダクション。ひとつひとつの設定の納得性に感嘆しました。歌手陣も豪華。再演を願っています。

★11月25日 濱田芳通&アントネッロ メサイア
古楽演奏団体による「メサイア」。緩急・強弱自在の音楽の魅力、質の高い合唱。とりわけカウンターテナーの美しくも分厚い響きを堪能しました。

★12月23日 びわ湖ホール「天国と地獄」
「こうもり」同様、秀逸な読み替え演出と歌手のコミカルな演技、レベルの高い歌唱。小規模ながらすべてが揃った優れたプロダクション。これももう一度鑑賞したいです。

★12月31日 ジョン・アクセルロッド/PACジルヴェスターコンサート
まだ日数が経っておらず、時間的な「引き」がないのですが、これ以降スター・ウォーズの音楽や「惑星」が頭の中で鳴り響いています。ワーグナー好きに繋がる嗜好?

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他にももちろん感動的な演奏は多くあったのですが、特に印象に残ったものを取り上げてみました。

振り返ってみると、好きな演奏家の演奏がとりわけ良かったとか、高額チケットの演奏のみが特に素晴らしく印象に残ったということもなく、惹き付けられる演奏というのはやはり聴きに行ってみないと分からない、ということが分かってきました。

回数を減らすべき、と思いつつ、前述のようなことで「ついチケットを買って行ってしまう」のは当分続くと思います。

それにしても、この感想ブログを毎回あーでもない、こーでもない、と考えながら綴る時間も結構膨大で、なんとか効率的に書けないものか、と思っているのですが——これも当分修行が続きそうです。

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