19時開演 ザ・シンフォニーホール
今シーズン初のセンチュリー定期。
レズニチェク、デュティユーという一般的に馴染みのない作曲家の作品と、小林愛実さんをソリストに迎えたラフマニノフ「パガニーニの主題による狂詩曲」というプログラム。
チェコの作曲家レズニチェクの歌劇「ドンナ・ディアナ」序曲。序曲ばかりが演奏される「オペラあるある」ですが、本体のオペラも聴いてみたいと思わせる晴れやかで清々しい音楽で、シーズンの幕開けにふさわしい作品でした。
昨年の定期、モーツァルト「ジュノム」を降板された小林愛実さん、待望の定期登場です。「パガ狂」は意外にも今回が初出しだったとのこと。
しかし、この作品が愛実さんに合っていたのかどうか?
抒情的な表現には息を呑む美しさがあったのですが、全体を通して音量が不足。ホールの響きの特性もあり、私の座る2階席では、完全にオケに消されてピアノが全く聞こえない箇所があり、もどかしく感じてしまいました。
較べるのは本意ではないですが、先日聴いた亀井聖矢さんの演奏が記憶に新しく、このパガ狂もやはりあれくらいの音量と躍動感で聴きたかったな、と。
アンコールで演奏されたショパンのノクターンは素晴らしく——モノローグのような歌心、呼吸感——やはりこれが愛実さんの本領では?と思った次第です。
後半はフランスの作曲家デュティユーの交響曲第1番。
作曲家の名前も知らなければ、その作品を聴いたこともない——しかし、これが定期演奏会に通う意味でもあります。1916年生まれ、とクラシックの中では近年の作曲家(しかも没年は2013年、ついこの間まで生きていた!)ですが、交響曲のフォーマットを守って作られています。調性が書かれていないので、それなりに現代音楽なのでしょうか?
うねうねと無窮動的に続く曲想は、キャッチーな旋律は持たないものの不思議と聴きやすい音楽で、艶やかなセンチュリーの響きに浸り、これぞ生で聴く醍醐味。コンマス荒井英治氏のソロが美しく印象的でした。
◇ソリスト・アンコール
ショパン:ノクターン第20番 嬰ハ短調 遺作