2021年8月4日(水)高関健指揮/大阪フィルハーモニー交響楽団 ドヴォルザーク・セレクションⅠ

19時開演 ザ・シンフォニーホール

大フィルの3回にわたる「ドヴォルザーク・セレクション」
今年が生誕180年のドヴォルザーク。交響曲7,8,9番とチェロ、ピアノ、ヴァイオリンの協奏曲、3曲の演奏会用序曲をそれぞれ組み合わせたプログラムとなっていて、今回はその1回目でした。
尾高マエストロが体調不良で降板され、高関マエストロが代演で行われました。

日程変更で平日の開催となり、できるだけ仕事帰りにコンサートに行きたい私としては好都合だったので行くことに。そしてその後7月下旬に指揮者も変更となったのですが、高関マエストロで聴けるのは嬉しいことでもありました。

後期のメジャーな交響曲3曲、協奏曲がそれぞれ3曲そして3部作の演奏会用序曲。ドヴォルザークは後世の3回のツィクルスを想定していたのではないかと思うほど、オーソドックスでしっくりくるプログラムです。

第1回目は、交響曲若い順で7番、コンチェルトの中でも最もメジャーな「ドヴォコン」ことチェロ協奏曲、そして序曲「自然の中で」。

序曲3部作には「自然と人生と愛」という3曲を括ったタイトルがあるそうですが、個々のタイトルとして「自然の中で」「謝肉祭」「オテロ」。実は今回「謝肉祭」だと思い込んでいて、その予習はしていたのですが、会場でプログラムを見て勘違いに気付きました。なので予習ゼロ。

しかし、描写に富んだ音楽で、冒頭コントラバスのトレモロを聴いた時点で、夜から始まりまた夜になって終わるのだと(R.シュトラウス「アルプス交響曲」のように)その構成もすぐに想定できました。ちょうど10年前にチェコを旅行した際の風景を思い出しーーもう10年も経つのかとーー感慨に浸ってしまいました。

そして、チェロ協奏曲。何といっても岡本侑也さんのソロが素晴らしい!きゅっとした艶やかな音色で、歌心にあふれている。もっとも人の声に近いと言われるチェロは、「歌う楽器」なのだと感じました。歌詞のない歌曲を聴いているような気持ちになり、美しい旋律とも相俟って涙腺が緩んでしまいました。あぁ幸せだなぁ、としみじみ。

交響曲7番は、8、9番のように、帰り道に歌いながら持って帰れる旋律はないのですが、それでもドヴォルザーク独特の民族的な節回しとロマン派の情感があり、そしてなぜだか安心できる心地よさを感じました。

きちんとした形を持った交響曲で(当たり前ですが)、先が見通せることが安心感をもたらしたのかな、とも思いますが、それは高関マエストロの明晰な指揮がもたらすものだったと思います。2階後部の座席で俯瞰的に見ていたのもありますが、どのような構成の音楽であるのかが非常によくわかるし、この先どう展開されていくのかもわかるような、解説を聞きながら鑑賞しているような気がする演奏でした。わかっていないのにわかったように書きたくないのですが(笑)、ともかくそんなことを思い、心にしっくりとくるものを感じたコンサートでした。

ドヴォルザーク・セレクション、いいですね!あとの2回も行こうと思っています。

◇座席
2階席後ろから2列目のGG席、上手側。シンフォニーホールでオーケストラを聴くには、音響、視界ともこのあたりの席が最良ですね。指揮者を正面から見たい時は別ですが(笑)

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