2021年3月20日(土)カーチュン・ウォン指揮/兵庫芸術文化センター管弦楽団特別演奏会 チェロ 佐藤晴真

15時開演 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール

1日置いてまたコンサート。
「音楽評論家か!?」と自分でツッコミたくなる状況ですが・・ぜひ行きたい!と思うコンサートがこの3月はめじろ押しなのです。

なんといっても、チェロの佐藤晴真さん!
昨年センチュリーの定期でその演奏を知り、機会があれば逃さず聴きたいと思っている演奏家です。
この日の演奏も、改めて書くまでもなく素晴らしいものでした。まるで音にスポットライトが当たっているかのような、くっきりとした輪郭を持つ豊かな音量。明るく雑味のない音色で低音も高音もすこぶる美しい。

今年はドヴォルザーク生誕180年のメモリアル・イヤーなので、この通称「ドヴォコン」は数多く演奏されることでしょう。
今回予習したところによると、この作品は、ドヴォルザークがかつて想いを寄せていたヨゼフィーナ・カウニッツ伯爵夫人と深く関わりがあるとのこと。ヨゼフィーナはドヴォルザークの妻、アンナの姉ーー失恋した相手の妹と結婚、というのはモーツァルトと同じですね。作曲中、そのヨゼフィーナの危篤の報に際し、ソプラノ歌手であった彼女が好んで歌っていた彼自身の歌曲「ひとりにさせて」を第二楽章のモティーフとして採り上げ、さらにその彼女の死後、第三楽章コーダに再び織り込んだとのことで、「ヨゼフィーナ」に捧げる作品となっています。

この日の演奏で最も印象に残ったのは、独奏チェロとヴァイオリン・ソロが掛け合う曲の結びの部分。コンマスが女性(小野明子さん)であったことで、地上のチェロ=ドヴォルサーク、の呼びかけに対し、天上のヴァイオリン=ヨゼフィーナ、が応えている、という景色が見えました。その音色のなんと美しいこと。
・・しかし、残念なことに「聴く」予習があまりできていなかったため、それ以上に深く聴くことができなかったのが今回の反省点。となると、また他の演奏会に行ってしまうような気がしています(笑)

指揮者カーチュン・ウォン。
TwitterのTLに絶賛コメントが並んでいたことがあり、一度聴いてみたいと思っていた指揮者でした。きびきびとした、分かりやすい指揮。同じアジア系で容姿も似てはいますが、動作がやはりなんとなく日本人指揮者とは異なっていて、しかし、白人系指揮者とも異なっていて・・この違いは何なのか?面白い!と感じました。考えてみると、日本人以外のアジア系指揮者を生で見るのはこれが初めて(ズービン・メータ除く)。転じて、日本人指揮者も他国人から見たときに何か「らしい」特徴があるのだろうか?などと考えたりもしました。

ベルリオーズ「幻想交響曲」。とても明快で分かりやすくはっきりと情景が浮かぶ演奏。舞台袖で演奏するバンダの効果をこれほど面白いと思って聴いたことはないと感じましたが、これは先日の「ローエングリン」で予習した成果。我がクラオタ道も少しずつ進化しています(笑)。パーカッションが大活躍、生き生きとしていてなんだか活力をもらえたような気がしました。

しかし、1週間前のラフマニノフ「パガニーニ」、一昨日の「交響曲2番」、この日は「幻想」。そうです、「怒りの日」繋がり。もうすぐイースターか・・などと考えながら帰途に着いたのでした。

◇アンコール
リムスキー・コルサコフ「熊蜂の飛行」
超絶技巧の披露として聴く機会の多いこの作品。チェロ、トロンボーン、テューバなど低音楽器で聴いた記憶ばかりで、オーケストラでは初めて。複数の弦楽器で聴くと(ぴたっと揃っていることがまず驚異的)ハチの羽音がリアルで臨場感ありました。

◇座席
1階席Y列上手側。ネット購入でなぜか席が選べず不本意な「雨宿り」席。指揮者に被る2列前の座席がミラクル空席で(他の1階席はほぼ満席)視界は良好。しかしこの席、音が直接響いてこないのでもどかしい。

◇その他
例によって、当初のチラシはコチラでした。
随分趣きが違う演奏になったのではないでしょうか?それも聴いてみたかったです。

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