2021年11月14日(日)佐藤晴真 チェロ・リサイタル2021 ピアノ高木竜馬

14時開演 いずみホール

昨年7月のセンチュリー定期でひと聴き惚れしてからこれで4回目の佐藤晴真さん。
リサイタルでの鑑賞は今回が初めてでした。


11月5日に発売された2ndアルバムの楽曲を軸にしたプログラミングで、ピアニストもアルバムと同じ高木竜馬さん。

ドビュッシー、フランクといったフランス作品を主軸に、中盤に第二次世界大戦後に活躍したポーランド人作曲家ルトスワフスキ作品も2曲。晴真さんはミュンヘン国際優勝の前年にこのルトスワフスキ国際コンクールでも第一位を獲得しており、「自家薬籠中のもの」(プログラム解説)とのこと。
耽美的な作品の間に現代ものを挟んだ構成で、晴真さんのチェロを堪能できる素晴らしいプログラムでした。

今回は距離的にも音響的にも近く、大ホールでコンチェルトを聴くときとはまた違った魅力。特に中音域の響きがホールの音響特性と一致するのか、ホール自体が鳴っているような感覚に陥りました。自分が楽器の中に入り込んで聴いているようなーーこれは声楽でまれに感じるものですがーーその音空間に身を置き、豊かな音量に浸ることは生で聴く最高の醍醐味であります。

もちろん、低音も高音も魅力で、プログラム最後のフランク「チェロとピアノのためのソナタ」(原曲はヴァイオリン)の細い細い高音も珠玉。美しい旋律とも相俟って、涙腺が緩んでしまいました。

アルバムでは晴真さんが大きく呼吸をしたり唸ったりしているのが聞こえるのですが、それは会場でも直に聞こえ、音を発しているのはチェロではあるけれど、やはり「歌っている」のだと実感しました。

ピアノの高木竜馬さんも素晴らしく、演奏技術は言うまでもないことですが、晴真さんとの仲の良さが舞台出入りの様子からも滲み出ていて、フレンドリーな空気が舞台にふんわり漂っていました。チェロに寄り添い、ともに歌い合うピアノ。お二人のアンサンブルの喜びが伝わってくるようでした。お互い信頼し合っている、その様子にも感動。

(才能ある若い演奏家同士の仲の良さを見て感動してしまうのは、先月のショパンコンクールからずっと続いていて、私は勝手に「『蜜蜂と遠雷』症候群」と名付けています 笑)

プログラムのメッセージの文章にも感動してしまい、ここに載せてしまいます。(モノクロのプログラムのデザインセンスも秀逸)

◇アンコール
ドビュッシー「美しき夕暮れ」

◇座席
1階H列下手側。先日のアンデルシェフスキの隣席(笑)

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