2022年12月10日(土)ピアノトリオ 黒川侑・佐藤晴真・阪田知樹

14時開演 京都府立府民ホール アルティ

昨年の予告通りに、今年もこの素晴らしいトリオの演奏会に行ってきました。

前回も思ったことですが、本当に3名とも持っている音色が美しい。
黒川さんの一切濁りのない澄みきったヴァイオリン、深いけれど明るい音色の晴真さんのチェロ、そして水の滴りを連想してしまう阪田さんのピアノ。

アンサンブルのセンスも素晴らしく、弱音から強音まで、いかなるときもバランスが乱れず、どの楽器も同じ強さで聴こえてくるのです。特に、強打しても他の楽器を圧することがない阪田さんのピアノ、弱音ペダルを踏んでいる訳でもなく、どうやってコントロールしているのかと不思議に思いながら見ていました。

今回は、ハイドン、ベートーヴェン、ブラームス、という、黒川さん曰く「王道」のプログラム。なので、演奏技術の高さがそのまま伝わってくるものでもありました。1曲目のハイドンの音色があまりにも美しくて早くも涙腺が緩み、それ以降もずっと涙目(笑)。

耳で追うべき楽器は3つだけの三重奏。この声部の少なさゆえに、それぞれの楽器の響きにじっくり耳を傾けることができ、深く音楽に浸る楽しみがある、ということを今日発見しました。いや、それにしてもじっくり聴かないともったいない美しさでした。

客席の静寂は保たれており、深く音楽に浸る至福の時間を過ごせました。そのせいなのか、あっという間に終わってしまって・・幸せな時間は短く感じるものです。それに、あんなに真剣に聴いたのに、具体的にどこが、というのが何故か思い出せない(笑)。これは先日の「奇跡の四重奏」でも同様。ただ美しさに浸った、という感慨のみが幸福感とともに刻まれました。

昨年は次の予告があったのですが、今回はなし。もしかして最後に「王道」で締めくくろう、ということだったのでしょうか?——それは嫌です!ぜひ来年以降も続けてください!(と、アンケートに書いて出しました)

◇アンコール
カーテンコールのあと、阪田さんがピアノの後ろから3本のマイクを取り出し、客席から笑い。黒川さんが、前回、前々回は「初めてやってみたい」作品を入れたプログラムだったが、今回はドイツ系の「王道」プログラムとした、とのこと。その系譜で、アンコールはシューマン「トロイメライ」でした(編曲者は不明)。

◇座席
2階の2列目下手側。
ホールの規模が小さく、室内楽を聴くにはよい空間ですが、それでもやはりもう少し前の方が良かったと思いました。
いずみホールでのリサイタル時に聞こえていた晴真さんの呼吸が全く聞こえなかったので、ここのホールは少しデッドなのかと感じました(いずみホールは響き過ぎの感もありますが)。

◇その他
この日も最後はブラームスの「1番」。
11月27日の「奇跡のカルテット」でもプログラムの最後はブラームスの「1番」。そして先週のティーレマンSKBもブラームスの「1番」。
毎週ブラームスの1番!
いずれも超一流の演奏で。贅沢をさせていただいております。

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