2026年7月25日(土) 佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2026「カルメン」

14時開演 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール

今年の芸文センターのオペラは「カルメン」。
外国人組の楽日を鑑賞しました。

全幕通して舞台は赤い砂漠。ではあるものの、大胆な読み替えなどはなく、ストーリーと音楽をそのまま楽しむことができる演出で、演奏会形式オペラに近い印象。故に私にとっては満足度の高いプロダクションでした。

舞台にはバイクやジープが登場し、その雑音対策のためなのかPAが用いられていたようで、却って歌手の声が客席に響いてこず、舞台の前面に透明の幕が張られているかのような錯覚を起こさせる音響となっていました。進むに従ってこちらの耳が慣れたのか気にはならなくなりましたが。

女工役などの合唱が赤いドレス、題名役カルメンは黒いドレスで、あまり背も高くないので埋没しがち、「魔性の女」感は希薄。音程的に難しいといつも感じる「ハバネラ」、ついでにエスカミーリョ「闘牛士の歌」は今回も例に漏れず。エスカミーリョは二枚目だけれど体格も歌声も線が細く、ヨレヨレとした印象。

舞台の照明は全幕通して暗く、響いてこない歌唱と相まって、かなり眠気を催すものでもありました。ドン・ホセの「お前が投げたこの花は」に至っては、「なぜ私はこの美しいアリアを眠りながら聴いているのだろう?」と。

毎年、この芸文センターのオペラは音楽的に「あともう一押し」が足りない、抑揚に乏しい、と感じるのですが今回も同様。今月初めにライブビューイングで鑑賞した「ジークフリート」、あのような芝居気のあるオーケストラが聴きたい。

――「満足度が高い」と書いたものの、良くないことばかりを並べておりますが――

最も素晴らしかったのは、ミカエラのヴァレンティーナ・マストランジェロ氏。スレンダー、小顔で可憐な容姿と透明感がありつつも強く響くソプラノ。この人のミミやリューを聴いてみたい、と思わせる、これぞリリコ!のソプラノでした。

3幕の密輸団の運ぶ木箱が落下傘で砂漠に着地する際の落下傘のブルーと砂漠の赤の色彩のコントラストや、砂丘の上に並ぶ人物がシルエットになって浮かぶさまなど、絵として美しい舞台。幕切れに大きな太陽が沈んでいく様は、カルメンの人物像、生き様のメタファーだったのでしょうか?

◆座席
1階O列下手側。昨年同様、舞台鑑賞に適した位置。

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