2022年1月13日(金)飯森範親指揮/日本センチュリー交響楽団第269回定期演奏会 ピアノ反田恭平

19時開演 ザ・シンフォニーホール

今年最初の演奏会は、反田恭平さんをソリストに迎えたセンチュリーの定期演奏会。
反田さん目当ての観客で満席の公演でした。

元日に小林愛実さんとの結婚を発表された反田さん。愛実さんが今年4月のセンチュリー定期ソリストを降板されたこともあり、プレトーク等での言及を期待していましたが、その類はなく、通常通りに淡々と演奏会は始まって終わりました。

さて、その演奏ですが・・
激賞したいところなのですが、残念ながら期待は少々外れてしまいました。

その要因のひとつは予習によるもの。
このブラームスのピアノ協奏曲第一番を実演で聴くのは初めてだったので、いつものようにSpotify、ベルリンフィルDCHなどで2,3の演奏を聴きました。しかしこれが却って仇となり、ピアノとオケがベストな音量で調整された録音と、実際にホールで聴くのとでは、聴こえ方が異なるということを痛感する結果となってしまいました。

私の座る1階の中ほどの席では、ピアノの音がオケに埋もれがちで、特に両者ともフォルテッシモ(と思われる)の場合、迫力に欠ける。反田さんの弾きぶりやマエストロの動作で、ここは最高潮だと思われる箇所もそれほどの音量では聴こえて来ず、もどかしい思いがしました。

そして、ピアノの独奏部分も、これまでにこのホールで聴き、感銘を受けてきたピアニストの美音を超えるものではなく、これはどうしたことか?と思った次第です。
(ちなみにピアノはスタインウェイでした)

また、かなり左に首を傾けないとピアニストもその手元も見えない、という座席の視界の悪さもあって、鑑賞体験としては満足度の低いものでした。

視界も良い、上階の席で聴いていたらどうだったのでしょう?

マエストロが腕を下ろすより前に、盛大な拍手が沸き起こっていたので、それなりに素晴らしい演奏だったのだろうと思いますが、明らかなファンと思われる数人の女性が立ち上がったあとに追随してスタンディング・オヴェイションが起こらなかったのは、演奏によるものなのか、この楽曲の性格によるものなのか?そのあたりもよくわかりません。

といった具合で、終演後、頭上にクエスチョンマークをいっぱいつけたまま、ぼんやりと階段を降りていたら、踊り場の一段前で踏み外し、かなり派手に転倒してしまい——なんとか立ち上がって歩くことはできましたが——痛む足を引きずりながら一人トボトボと帰途についたのでした。なんともトホホな今年のコンサート鑑賞の幕開けでございました。

ところで、この演奏会の前半プログラムはブルックナーとブラームスの合唱曲。
私も一時所属していたセンチュリー合唱団に神戸市混声合唱団を加えた編成で、透明感もあり美しい歌唱でした。双眼鏡越しに久し振りに拝見する方々、色々と思い出すこともあるひと時でもありました。

◇ソリスト・アンコール ショパン「ラルゴ」(聖歌「神よポーランドをお守りください」)
反田さんがショパンコンクール3次予選で葬送ソナタの後に演奏した曲。ショパンらしさがあまり感じられないこのコラール、ブラームス作品との相性も良く、前半の合唱曲とも整合し、かつショパコンを思い出させ、今の世界情勢をも反映した優れた選曲。ショパコン開催時はウクライナが侵攻を受ける前だったのだということにも思い至りました。

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