2021年3月26日(金)矢崎彦太郎指揮/関西フィルハーモニー管弦楽団 第317回定期演奏会 藤田真央「ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番」

19時開演 ザ・シンフォニーホール

なんという美音!
初めて生で聴く藤田真央さんの奏でるピアノの音色の美しさに嘆息の演奏会でした。

藤田真央さん。
ぜひとも生でその演奏に触れてみたい、と思っていました。

ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番。
ピアノ・コンチェルトの中でも重量級と言われていますが、最初にそのピアノの音を聴いた印象は「鈴の音」。その音の美しさに、単にピアノの音ではない、透明感あるなにかを感じました。そしてその一音一音が明瞭に粒立って聴こえる。どんなに速く弾いても、和音を連打しても、鳴らしている全ての音が聴こえる。これは感動的な驚きでした。
ずっとこのピアノを聴いていたい、この曲でなくてもいい、どんな曲でもいいから、とにかく真央さんの奏でるピアノを聴いていたい・・ピアノ・コンチェルトを聴きながらこんなことを思ったのは初めてのことでした。
Twitterでも大人気で、追っかけをしている方も多数おられるようですが、その気持ちが理解できましたし、リサイタルでピアノそのものの演奏を堪能したい、とも思いました。

演奏が終わり、盛大な拍手を受けながら、両手を胸の前で組み、頷くように客席に会釈してそよそよと揺れているさまがなんとも愛らしく、周りから「可愛い」と呟きが漏れるのが聞こえてきました。私も隣に連れがいたら呟いていたと思います。はい、持って行かれましたね(笑)

ところで、聴きながら「この曲でなくてもいい」と思ってしまったのには、実は別の理由がありました。それは、ピアノの合いの手で入る管楽器の音色が美しいとは言い難かったということ。この美しいピアノの響きにはそれ相応の美しい音色で入って欲しいな、と、どの楽器が鳴っても思わざるを得なかったことは残念でありました。

後半はフランクの「交響曲二短調」
オーケストラは後半になってから本領が発揮されてきたようで、この曲の演奏は素晴らしかった。金管が鳴りまくる輝かしい響きは、1月に聴いたワーグナー特別演奏会を思いださせるものでした。関フィルさんはフォルテッシモが得意なのでしょうか?

さて、「二短調」の作品ふたつを並べたこの演奏会は「デモーニッシュ」と銘打たれていました。苦悩の二短調で始まり歓喜のニ長調で終わる。ベートーヴェンが第九で示したプロットを後の作曲家も次々と踏襲しているのですね。

そういえば、大フィル定期でブルックナー9番を聴いた時の感想が「デモーニッシュ」だったのですが・・これも同じく二短調。かなり多いな二短調(笑)

ところで、再び藤田真央さん。TVで拝見した際の印象として、その幼さを残したルックスと「天然」とも思える愛すべきキャラクターから「音楽の神様が遣わしてくださった『天使』」との思いを抱いてたのですが・・初めて足を運んだこのコンサートは「デモーニッシュ」。こちらの思いとは真逆のコンセプトでありました。

◇ソリスト・アンコール ラフマニノフ前奏曲第4番Op.23-4
◇座席 2階最前列下手側 真央さんの手元を見るために下手側を選んだのですが・・表情も見たかったな、と(笑)

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