2022年10月16日(日)藤田真央 モーツァルトピアノソナタ全曲演奏会 第4回

14時開演 京都コンサートホール小ホール

モーツァルトピアノソナタ全曲演奏会全5回のうちの第4回。

この10月初めにモーツァルトのピアノ・ソナタ全曲のアルバムがリリースされたばかりのタイミングでの今回のリサイタルでした。

プログラムの3曲のソナタ、9番、17番、15番は、もちろん、その真央さんのアルバムで予習しました。
予習の段階でも感嘆。オクターブのユニゾンの右手左手がぴたっと同じ音質で高速で演奏されるところなど、思わず「ひぇ~」と声を上げてしまい、次の瞬間「そうか、真央くんだもんな」とひとり納得(笑)。そして鳴らしている音がすべて明瞭に聴こえる、あのコロコロとした響き。それはモーツァルトに限らず、例えばラフマニノフを弾いても同じなのですが、一音一音が唯一無二の「真央印」。その強いオリジナリティとしかもそれが美音であることに同時に魅了されるのです。

と、今回も絶賛から入ってしまいました。

しかし、何度も家で聴いていたのですが、実際にホールで聴くと、その響きの違いからか、同じ曲?と思うくらい印象が異なって聴こえたのも今回ならではの経験でした。

ホールでの響きには、柔らかいスレートのような球体の石が、表面はピカピカではなくマットな質感で、柔らかく光を受けている、そんな印象を持ちました。

前半も後半も、音楽を聴くというより、その一音一音に聴き入ってしまっているうち、いつの間にか演奏が終わっていて——いったい私は何を聴いたのでしょう?全体が聴けていない。

昨年アンデルジェフスキでバッハ平均律を聴き、フーガを追っかけ過ぎて頭が激疲れたことを思い出しもして——どう聴こうとそれは聴き手の自由ではありますが、しかし私は聴き方が下手です・・。

アンコールが終わった後、マイクを持って現れた真央さん(待ってました)。
ツアー3日目だったこの日は、前の2日よりもいろんなアイデアが浮かんできてとても楽しく弾けた、今日のお客さんはラッキーでしたよ、と客席を沸かせてくれました。

SNS情報によると前2日の会場は残響が多少長かったようですが、ここのホールはさほど長くないので、真央さんのイメージした響きとホールの響きが一致し、それがアイデアを喚起したのではないかと思った次第です。

アンコールのショパンも素敵で——帰り道、かなりな真央ロスに陥ってしまいました。モーツァルト・シリーズはあと1回あるのですが、「あと1回で終わってしまう」と、聴かぬうちから既にロス(笑)

しかし、さて、来月はカルテットでまた聴きに行きます。
こちらも聴かぬうちから・・だったりしますが。

◇アンコール
ショパン:ポロネーズ第3番(軍隊ポロネーズ)、マズルカ「マリア・シマノフスカヤのアルバムから」

◇座席
2階上手側バルコニー席。
今回は表情を見たい、と上手側にしたのですが、ピアノの反響板の効果で下手側より音響がよい、という副次的恩恵も。しかし、やっぱり手元も見たかった・・悩むところです。

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